自動車整備士の合格率は?難易度や合格基準なども解説
自動車整備士の資格取得を目指すうえで、合格率が気になる方も多いことでしょう。
自動車整備士の資格は1級、2級、3級、特殊整備士があり、資格の種類や受験する科目によって難易度も異なります。本記事では、それぞれの資格ごとの難易度や合格基準、合格率について解説します。
自動車整備士資格の種類
自動車整備士の資格は、大きく分けて1級、2級、3級と特殊整備士の4種類があります。
さらに、それぞれの資格には整備するパーツや車の種類に応じた3~4種類の科目に分かれています。
3級自動車整備士
・3級自動車シャシ整備士 ・3級自動車ガソリン・エンジン整備士 ・3級自動車ジーゼル・エンジン整備士 ・3級二輪自動車整備士 |
3級自動車整備士は、パーツに特化した整備を行うことができる4種類の資格に分かれています。
3級自動車整備士を取得すると、基礎的な点検や基本的な整備を行うことができるようになりますが、高度な技術を要する整備や、ブレーキやサスペンションなどの分解整備を単独で行うことはできません。
3級自動車整備士は、整備士としてのスタートラインとも言えます。
2級自動車整備士
・2級ガソリン自動車整備士 ・2級ジーゼル自動車整備士 ・2級自動車シャシ整備士 ・2級二輪自動車整備士 |
2級自動車整備士も、整備できる範囲ごとに4種類の資格に分かれています。
1級自動車整備士は2002年に制定された比較的歴史の浅い資格で、それ以前は2級自動車整備士が、整備士の最上位資格でした。
2級自動車整備士を取得すれば、ほぼすべての整備業務に携わることができるため、多くの自動車整備士が2級自動車整備士を取得しています。
1級自動車整備士
・1級小型自動車整備士 ・1級大型自動車整備士 ・1級二輪自動車整備士 |
1級自動車整備士には、上記3種類の資格があり、2級自動車整備士以上に高度な技術や専門性の高い知識が求められます。
特殊整備士
・自動車タイヤ整備士 ・自動車電気装置整備士 ・自動車車体整備士 |
特殊自動車整備士は、その名の通り、パーツごとに特化した専門性の高い資格です。
特殊自動車整備士を取得することで、2級自動車整備士以上に特定のパーツを専門的に整備することができます。
自動車整備士技能検定の概要
自動車整備士技能検定には、学科試験と実技試験があり、それぞれに合格することで資格を取得することができます。
また、学科試験を突破してはじめて実技試験を受験することができます。
ここでは、資格ごとの学科試験の試験概要をご紹介します。
3級自動車整備士の試験概要
・構造、機能及び取扱い法に関する初等知識 ・点検、修理及び調整に関する初等知識 ・整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法に関する初等知識 ・材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する初等知識 ・保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
出題数は30問、試験時間は60分で、試験は四肢択一式のマークシート方式です。
2級自動車整備士の試験概要
・構造、機能及び取扱い法に関する一般知識 ・点検、修理、調整及び完成検査の方法 ・整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法に関する一般知識 ・材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する一般知識 ・図面に関する初等知識 ・保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
2級ガソリン・ジーゼル・二輪自動車整備士試験の場合、出題数は40問、試験時間は80分。
2級自動車シャシ整備士の場合、出題数は30問、試験時間は60分です。
いずれも四肢択一式のマークシート方式です。
1級自動車整備士の試験概要
・構造、機能及び取扱い法 ・点検、修理、調整及び完成検査の方法 ・整備用機械に関する初等知識 ・整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱い法 ・材料及び燃料油脂の性質及び用法 ・図面に関する一般知識 ・保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
出題数は50問、試験時間は100分で、四肢択一式のマークシート方式です。
また、1級の場合のみ、2問(試験時間10分)の口述試験もあります。
特殊整備士の試験概要
・構造、機能及び取扱法 ・点検、修理、調整及び完成検査の方法 ・整備用機械に関する初等知識 ・整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法 ・材料の性質及び用法 ・図面に関する一般知識 ・保安基準その他の自動車の整備に関する法規 |
出題数は40問、試験時間は80分で、試験は四肢択一式のマークシート方式です。
※参考:国土交通省「自働車整備士 試験内容について」
▼自動車整備士の技能試験については、こちらの記事で紹介しています。
自動車整備士の実技試験とは?資格の種類や受験資格、試験内容について解説!
自動車整備士技能試験の合格基準
自動車整備士技能試験では、資格ごとに明確な合格基準が設けられています。
特に、1級、2級自動車整備士の試験においては、合格点を満たすだけでなく、分野ごとに定められている責任点をクリアしなければ、資格を取得することができません。
受験する資格によって合格基準が異なるため、注意が必要です。
3級自動車整備士の合格基準(ガソリン・ジーゼル・シャシ・二輪)
30点満点中、21点以上の成績であること。
2級自動車整備士の合格基準(ガソリン・ジーゼル)
40点満点中、28点以上かつ、それぞれの分野ごとに40パーセント以上の成績であること。
2級自動車整備士の合格基準(シャシ)
30点満点中、21点以上かつ、それぞれの分野ごとに40パーセント以上の成績であること。
1級自動車整備士の合格基準
50点満点中、40点以上かつ、それぞれの分野ごとに40パーセント以上の成績であること。
また、口述試験においては、20点満点中16点以上の成績であること。
特殊整備士の合格基準
40点満点中、28点以上の成績であること。
自動車整備士技能検定の合格率
資格取得には、試験での高得点が求められる自動車整備士ですが、試験の難易度も高いのでしょうか。
日本自動車整備振興会連合会の発表によると、令和5年度第2回(第108回)自動車整備技能登録試験(学科試験)におけるすべての資格の合格率は81.0%(受検率98%)でした。
同年に実施された、資格ごとの試験結果は以下の通りです。
種類 | 受検者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 受験率(%) |
1級(小型) | 2,784 | 1,645 | 59.1 | 98.2 |
2級(ガソリン) | 9,600 | 8,331 | 86.8 | 98.7 |
2級(ジーゼル) | 7,515 | 7,017 | 93.4 | 99.1 |
2級(シャシ) | 321 | 276 | 86.0 | 91.5 |
3級(シャシ) | 1,816 | 1,224 | 67.4 | 96.0 |
3級(ガソリン) | 3,659 | 2,399 | 65.6 | 95.7 |
3級(ジーゼル) | 688 | 396 | 57.6 | 96.6 |
3級(二輪) | 265 | 220 | 83.0 | 95.3 |
特殊(電気装置) | 192 | 158 | 82.3 | 97.5 |
特殊(車 体) | 599 | 554 | 92.5 | 99.2 |
合計 | 27,439 | 22,220 | 81.0 | 98.0 |
※参考:日本自動車整備振興会連合会:令和5年度第2回(第108回)自動車整備技能登録試験 「学科試験」の試験結果について
自動車整備士技能検定(学科試験)における全資格の合格率は、年度により差が生じていますが、おおむね60~80%程度となっています。
また、実技試験においては、2級・3級の合格率が50~60%程度、1級は15~70%と、年度によって大きく変動しています。
全体の合格率は81%となっているため、比較的取得しやすい資格と思われるかもしれませんが、合格基準が厳しく、決して難易度の低い資格ではありません。
いずれの資格を目指す場合にも、しっかりと対策をして臨むことが大切です。
まとめ
自動車整備士には1級、2級、3級、特殊自動車整備士があり、それぞれの科目ごとに資格試験を受験する必要があります。
また、それぞれの試験ごとに細かく合格基準が設けられ、決して簡単に取得できる資格ではありません。
資格取得を目指すには、難易度や合格率などの数値にとらわれず、試験の内容や問題の出題傾向などを確認し、過去問に取り組むなど、しっかりと試験の対策を行うことが大切です。
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